相続人の同意が必要?
通常、不動産の登記を行うと下図のように表題部と権利部(甲区)が登記されます(下図は土地の登記ですが建物も同様です)
下図の登記となっている場合は権利部(甲区)の所有者が公費解体の申請者となります。しかし所有者が既にお亡くなりになられている場合は、その相続人の代表者が公費解体/自費解体の申請を行い、その他の相続人は同意書に実印を押印し印鑑登録証明書を添付しなければなりません。
この図の場合は権利部(甲区)の法務五郎さんが所有者です。しかし法務五郎さんが既にお亡くなりになっている場合は、その法務五郎さんの相続人の代表者が公費解体/自費解体の申請をし、その他の相続人は同意書と印鑑登録証明書の準備が必要となります。なお相続人全員の同意が必要です。これが原則です。

ですが、昔からある建物の場合、下図のように権利部(甲区)以下が無く、表題部のみの登記も多々見受けられます

この場合はどうなのでしょうか。この場合は表題部しかありません。この場合は表題部の所有者が申請者となります。所有者が既にお亡くなりになられている場合は、その所有者の相続人全員の同意が必要です。
この図の場合は表題部所有者の甲野太郎さんが申請者になりますが、甲野太郎さんが既にお亡くなりになられている場合は、その相続人の代表者が申請し、その他の相続人は同意書と印鑑登録証明書の準備が必要となります。なお相続人全員の同意が必要です。これが原則です。
つまり、表題部のみ存する場合であろうが、権利部まで登記されている場合であろうが、所有者がお亡くなりになられている場合は、相続人全員の同意が必要です。
公費解体も自費解体も相続人全員の同意が必要?
結論から申し上げますと公費解体も自費解体も相続人全員の同意が必要です
一時期、自費解体の場合は相続人全員の同意が不要との噂も耳にしましたが、相続人全員の同意書は必ず必要です。自費解体を検討する場合は所有者が亡くなっているか?また亡くなっていても相続人の同意の取得が容易か?を検討する必要があります。なお、相続人全員の同意書の取得のほか、当然相続人全員の戸籍謄本を取得する必要があります。
また、一時期公費解体や自費解体を行う場合、表題部の登記しかないケースでは評価証明書を添付し、評価証明書の所有者がご存命の場合その方が申請すれば、受理されるとの噂も耳にしたことがありますが、そんなことはありません。原則通り表題部の所有者から相続人全員を洗い出し、全員の同意が必要です。
つまり、当該建物が表題登記だけだろうが、権利部登記までしてあろうが、公費解体であろうが、自費解体であろうが、所有者がお亡くなりになられている場合は、相続人全員の同意書が必要です。
また、相続人が全員であることを証明するためには、出生から死亡までまたは、出生から現在の戸籍まで添付する必要があります。これが結構大変です。
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