無人航空機を用いて田や畑に農薬を散布する方法は効率が良いですが、農業用ドローンには航空法や道路交通法、農薬取締法など多くの法令が関連します。
ここでは主に航空法の制限について解説いたします
航空法の規制について
航空法の対象となる機体は機体重量が100g(令和4年6月20までは200g)のドローン(マルチコプター)、ラジコン機、農薬散布用ヘリコプター等が該当します。機体重量が100g以上であれば無人航空機登録原簿(ドローン登録システム)にも登録が必須です。
これら対象となる機体は航空法のルールに従い飛行させなければなりません。これらのルールに違反した場合は、50万円以下の罰金(飲酒等の飛行は1年以下の懲役または30万円以下の罰金)が課されることがあるので、必ず法令を遵守しなければなりません。
このルールは「飛行のエリアに関するルール」と「飛行方法等に関するルール」があります
飛行のエリアに関するルール
無人航空機は有人の航空機に衝突する恐れや、落下した場合に地上の人などに危害を及ぼす恐れがあるため、下記4つの空域で無人航空機を飛行させる場合はあらかじめ許可を受ける必要があります
①地表または水面から150m以上の高さの空域
航空法により航空機が飛行できる最も低い高度は150mと定められているため、無人航空機はそのエリアを飛行させることができません。もっとも高度150m以上から農薬散布することはないでしょう。
②空港等の周辺の上空空域
空港周辺での無人航空機の飛行も禁止されております
具体的な地域は国土交通省のHPから確認できます
③緊急用務空域
緊急用務空域令和3年6月1日以降、災害等の規模に応じ捜索・救助等活動のための緊急用務を行う航空機の飛行が想定される場合に、ドローンやラジコン機の飛行が禁止される空域です
無人航空機を飛行させていたエリアが、緊急用務空域として指定された場合は、速やかに飛行を中止させる必要があります。
なお、無人航空機を飛行させる場合は必ず緊急用務空域の確認をお願いします
緊急用務空域の確認は国土交通省のHPから確認できます
④人口集中地区(DID)の上空
人口が集中している地域も飛行が制限されます。実際に飛行させたい地域が人口集中地区(DID)であるかどうかは国土交通省のHPにて確認できます
道路交通法
道路交通法では、一般交通に著しく影響を及ぼす場合、管轄の警察署長の道路使用許可を受けなければなりません。そのためドローンを利用することで、道路における危険を生じさせ円滑な交通を阻害する恐れがある場合、または、道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼす場合には、道路使用許可が必要になります。
なお、単にドローンを利用して道路上空から撮影を行おうとする場合は、現行制度上、道路使用許可を要しません
その他(条例)
地方自治体等では、公園や庁舎などの管理区域でのドローンの使用を条例によって禁止している場合があるので、ドローンを利用する際は、当該地域の条例を必ず確認してください
石川県の場合は野々市市がドローンの飛行を条例で禁止している地域があります
飛行方法等に関するルール
飛行させる場所に関わらず、無人航空機を飛行させる場合には、以下のルールを遵守してください
①アルコールまたは薬物等の影響下で飛行させないこと
②飛行前確認を行うこと
③航空機またはほかの無人航空機との衝突を予防するように飛行させること
④他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと
⑤日中(日の出から日の入り)に飛行させること
⑥目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
⑦人(第三者)または物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
⑧祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
⑨爆発物など危険物を輸送しないこと
⑩無人航空機から物を投下しないこと
⑤~⑩のケースで無人航空機を飛行させる場合は予め地方航空局長の承認を受けなければ、飛行させることができません
無人航空機からの農薬散布は「⑨爆発物など危険物を輸送しないこと」と「⑩無人航空機から物を投下しないこと」にあたりますので、無人航空機から農薬散布を行う場合は、予め地方航空局長の承認が必要です
申請方法
申請はオンライン申請、郵送及び持参のいずれかの方法により申請が可能です。持参の場合は持参先が大阪府なのでオンライン申請または郵送申請が現実的です。ただ、申請の不備を修正する必要がある場合、オンライン申請を利用したほうが便利です
申請は飛行開始予定日の10開庁日までに提出が必要ですが、不備を考慮して3~4週間程度前から余裕をもって申請したほうが良いかと思います